「法人番号の民間活用に向けて」

—『経済産業省版法人ポータル(β版)』についてー

経済産業省 
(法人番号:4000012090001)
CIO補佐官 満塩 尚史 氏

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 本日は、経済産業省で法人番号を民間で利活用す
るための方策のひとつとしてリリースした、「経済産
業省版法人ポータル(β版)」の紹介とともに、今後
の法人番号活用の可能性についてお話させて頂く。

「経済産業省版法人ポータル(β版)」

法人情報について

 行政や民間が保有する法人情報は組織毎、制度毎に分散しており、表記や範囲、表現が一定ではない。またオープンデータとしての提供方法もPDFやCSV、HTMLなど様々であり、その活用にあたっては機械可読性の向上やデータ間の関連付けが課題となっている。
 経済産業省では、法人番号の機械可読化プロジェクトを進めているが、その中では法人情報に関するデータの意味(語彙)の整備、機械可読なフォーマットによる情報提供が重要である。例えば、住所一つとっても都道府県名だけのもの、○丁目○番地○号、×-×-×とハイフンでつなぐものなど表記の揺れがあると機械処理上は手間がかかってしまう。
 表記の揺れへの対応として、法人情報に法人名称と同等に法人番号を記載することで挙げられる。法人番号が国内においては最もカバー範囲が広い識別子であり、法人番号によって、異なる組織や制度における(同一法人の)法人情報の関連付けが容易になる。

「法人ポータル(仮称)」について

 「法人ポータル(仮称)」で提供予定の法人情報とは、大きく分けて2つである。
 まず、すべての法人に共通する法人番号や法人名といった組織や事業に関する情報である「法人の基本的な情報」、もう1つは、調達実績など、法人の活動に際し取得・付加される「法人の付加的な情報」である。政府が法人情報を提供するメリット、ニーズとして、民間企業からは「企業活動の信頼につながること」、行政側からは「横断的に参照可能なシステムが存在することによって業務の効率化、効果的な政策立案や行政執行」が期待されている。
 現在、2017年1月より「法人ポータル(仮称)」の運用開始を目指しており、経済産業省は法人ポータルを作る実証プロジェクトとして、所有する法人情報を省内外で一括検索できる「経済産業省版法人ポータル(β版)」を構築し2016年4月22日より公表している。

「経済産業省版法人ポータル(β版)」の概要

 「経済産業省版法人ポータル(β版)」は、従来、経済産業省の各部署が個別に保有し、個別に公表していた法人情報を、法人番号を活用して一元的に見られるようにした。法人情報一括検索では、法人番号や法人名で検索することで法人情報(所在地、補助金情報等)の閲覧が可能で、さらに検索結果から法人を選択することで当該法人の情報(商号、所在地、補助金情報等)を表示する。2016年4月の公開時点では、すでに経済産業省にて公開していた情報のうち、補助金・委託費・調達情報及び表彰情報の一部を掲載しており、今後さらに情報を追加していく。なお、補助金等の情報以外にも、経営革新等認定支援機関など、掲載可能とされた法人情報も掲載している。2017年1月からは「法人ポータル(仮称)」に各府省庁が保有する法人情報をCSVファイルやAPI等によって提供を受け、一覧で表示する予定である。

経済産業省版法人ポータルのAPI

 APIの構造は、HTTPを基にしたWeb-APIで構築しており、プロトコルはREST形式で、GETコマンドを利用している。データ形式、クエリー言語もリンクト・オープン・データ(Linked Open Data: LOD)では標準的なRDF形式、SPARQL(スパークル)を採用している。法人ポータルの利用可能性としては、多様なニーズに合った、高度な検索機能の提供、民間法人ポータルへの自動データ連携、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、IoT機器等での利活用などが考えられる。
● 経済産業省版法人ポータルベータ版(利用方法)
● 経済産業省版法人ポータルベータ版(API)

語彙基盤と法人関連情報

 従来の法人情報のデータ構造は、提供先である組織毎に記述方法が異なっていた。そのため、データ形式の変換の際に、様々な問題(住所の記述方法、企業名の表記の不統一、西暦と和暦の混在、必要データの不足)が生じていた。そのためフォーマットを見直す際には記述ルールも改良し、データ形式の共通化により中長期的にはデータ全体の品質を向上させることとした。具体的には、独立行政法人情報推進機構(IPA)が構築を進めている共通語彙基盤のコア語彙を継承し、決められていなかった「更新日時」や「業種コード」などを追加、拡張子「法人関連情報語彙(案)」を新たに整備し、今後、各府省が法人情報を公開する際の共通語彙として活用を想定している。

法人ポータルの活用事例

 既に、世界中で公開されているLODを集め、大規模なデータベースとして一括検索を可能にする技術を開発し、この技術を盛り込んでいるWebサイトがある。データをRDFで保持しており、SPARQLをクエリー言語として使用可能である。そのため、法人の調達金額ランキングや、本社住所地をマッシュアップして見せるなど、法人の各種情報を様々な切り口で可視化、新規の登記、廃止情報を月毎に表示する市区町村毎の法人分析などが可能である。
 「経済産業省版法人ポータルβ版」は法人情報のハブとして、GUIで提供するとともにAPIでも提供できる。法人情報を活用した新サービスやWebサイトを構築し、取引先の確認、競合他社の分析、新規取引先候補の検索といったような新たな活用方法を生み出して頂きたい。
 現在、各省庁が官公需情報ポータルサイトなどワンストップで情報収集可能なサイトを公開しており、今後ますますデジタル・ガバメントへの動きが加速すると思われる。オープンデータを活用した新サービスが数多く生み出されることを願っている。

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