「法人情報活用を生業とした目から見たROBINS」について   ~インタビューコラム~

「法人情報活用を生業とした目から見たROBINS」について(前編)

JIPDEC客員研究員 永山徳雄
(元 (株)東京商工リサーチ調査取材本部本部長)

「サイバー法人台帳ROBINS」は、法人番号等で企業に関する行政のオープンデータや民間のデータを連携させて活用する法人情報データベースです。
信用調査会社である東京商工リサーチで、長年、法人の調査に携わってこられた永山氏に、これまでのキャリアと、法人情報活用の「これまで」と「これから」についてお話をお伺いしました。

1.これまでのキャリア ~法人情報活用を生業に40年~
 私は民間の信用調査会社に40年間勤務していました。
まず30年間は、信用調査部門にて、調査先企業への訪問取材を主体に企業与信に関する「調査報告書」の作成に携わり、のちの10年間は、企業調査の基幹となるデータベース部門にて、日本全国350万社の法人情報、250万件の事業所情報を収集・構築、更新に関する管理・運営を担当していました。

2.調査部門の業務 ~取材データの信憑性確保~
(1)調査部門の業務とは
 「調査報告書」の取材・報告事項は多岐にわたります。
多様な情報源へのアプローチと取材先との信頼関係の構築が必要となります。

1) 誰でも入手可能な情報(ただし、情報源への移動や手続き等物理的なハードルは高い)
 登記事項、決算公告や許認可届出に関する閲覧事項(会社概要、業績等)
2) 「Face to Face」で入手する情報
 会社沿革、代表者経歴、従業員・株主構成、取引先・取引内容、銀行取引状況、業績推移とその内容、資金状況・資金計画等実績情報(過去)に加え、将来的な経営計画(事業計画、業績見込み等)
3) 裏付情報
 入手した様々な情報を擦り合せ、必要に応じて裏付取材を行い、その結果を基に判断した情報

(2)特に苦労したこと
 取材データの信憑性の確保については特に腐心しました。与信判断には、誰でもが入手可能な情報(登記事項、閲覧事項等)だけでは十分ではなく、「Face to Face」で入手する情報や、裏付情報をいかに擦り合わせて、より正確な企業評価へと繋げるかが付加価値となりました。

3.データベース部門の業務 ~「分母」把握とデータ「更新」による最新性確保~
(1)データベース部門の業務とは
 後半10年間は、以下の企業データベース(DB)を構築し、更新してきました。
1) 調査報告書DB、2) 企業業情報DB、3) 決算書DB、4) 倒産情報DB、5) 官報記事DB、等
 データベースの構築・更新は、全国支社店の調査員の直接取材、本社調査取材本部の取材(DM、電話)及び外部開示情報(情報開示請求、許認可に関する閲覧情報、官報・決算公告、電話帳情報、各種Webサイト等)を基に行ってきました。

(2)特に苦労したこと
 各種データベースの「分母」を把握し、収録するデータ項目構造「枠組み」を決め、網羅率に基づくDB構築の進捗管理とデータ更新による最新性「品質」を確保することでした。

4.インターネットの発展による企業調査の変化 ~大きな契機:Webサイトの登場~
(1)まずは、配信チャネルの拡大から(1980年代~)
 インターネットの発展によるインパクトは、まずは調査レポート、企業概要情報の配信チャネルの拡大として現れました。顧客先への配信チャネルは従来では、紙ベース(郵送、FAX送信)であったものが、電子媒体によるものが主体となりました。今では、専用のポータルサイトにお客様にアクセスして頂いたり、電子メールでタイムリーな配信をするのが当たり前となっています。

(2)企業から発信されるホームページ情報の活用(1990年代~)
 インターネットが企業調査レポートの情報源の一つとして活用され始めたのは、企業PR・宣伝の媒体として登場したホームページが、企業の社会的責任論を背景に情報開示手段として行政機関を含め一般化してからでした。
 また、Google等検索エンジンなども広範な情報源(過去情報含む)からの情報収集に役立ちました。ただ、中小企業の情報は少なく、更新頻度や信憑性の課題がありました。

(3)専用Webサービスサイトの登場(2000年代以降~)
 ホームページ以外にも専用のWebサービスサイトが出てきました。これらは機械可読なデータであり、情報収集、構築・更新(データ入力)のコスト・時間を大幅に引き下げ、企業調査や企業情報サービスに大きな影響を与えました。

  • 2000年9月にスタートした「登記情報提供サービス」(http://www1.touki.or.jp/)により、これまでは企業の登記情報(法的実在)を各地の法務局に赴いて取得していたのに対して、インターネットを経由することで、物理的なコスト(移動時間や交通費)を大幅に削減することとなりました。
  • 2015年10月に開設された「国税庁法人番号公表サイト」(http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)により、日本における法人約450万社「全件」(休眠会社含む)を把握することが可能となりました。このサービスは、登記情報の一部ではありますが「日次」で既存法人の商号変更、本店移転、解散の変更情報と「新設」法人情報を機械可読データとしてAPI連携で確認・取得出来るもの(利用無料)であり、法人情報の正確性を低コストで把握することが可能となりました。

5.サイバー法人台帳ROBINSに関する取り組み(期待)
 TSR((株)東京商工リサーチ)では、ROBINS立ち上げ当初に、ROBINSの構想と連携のご提案を頂き、協調領域について議論、検討してまいりました。
協業を進めたのは、ROBINSの以下のような特徴が挙げられます。

(1)登録データの高い信憑性
 企業データの信憑性を確認するためには、「いつ(日付情報)、どこで(情報ソース)、誰が(確認者)」確認したものなのかを明らかにすることが重要です。
 「ROBINS」に登録されるデータは、各種認証業務を行っているJIPDECで検討された登録ルールに基づき、社会保険労務士・行政書士等信頼できる「確認者」のチェックを経た信憑性の高いものです。事業者が自らの意思でチェックを受けて情報発信する仕組みは、画期的なものです。

(2)登録データの拡張性と一覧性
 また、事業者自らが登録する情報だけではなく、法人番号をキーに、法人オープンデータなどとデータ連携させる拡張性・一覧性も期待していました。
 TSRのインターネット企業情報サービス「tsr-van2」とのデータ連携で、TSR企業コード、法人現住所(市区郡まで)、「更新日」(事業活動確認)等も一元的に確認できるデータベースとなっています。

企業調査のこれからについては、後編にてお話ししたいと思います。
(後編に続く)

以上

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