不動産鑑定評価書の電子化

監修:宮内宏弁護士(宮内・水町IT法律事務所)

近年、JIPDECに対して、不動産鑑定評価書の電子化に関するお問い合わせが増えています。これは、不動産鑑定の現場において、従来、不動産鑑定士の署名押印がなされた紙文書として交付されている慣例から脱却して、不動産鑑定評価書を電子的に取り扱いたいというニーズが、顕在化しているためと考えられます。
「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づく不動産鑑定士の署名押印については、既に「e-文書法※」により、電子署名法で定める電子署名を行うことで代替できることが、所管官庁によって示されており、不動産鑑定士が交付する不動産鑑定評価書は、以下の通り、電子化することが可能です。


※e文書法は、令和元年の法改正によりにデジタル手続き法(正式名称は「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」)に改正されています。

不動産鑑定評価書への電子署名

不動産鑑定士は、認証局から発行される電子証明書を入手し、電子的な不動産鑑定評価書(PDFやExcel等)に対して電子署名を付し、不動産鑑定評価の依頼者に電子メール等でその評価書を送信することにより、「不動産の鑑定評価に関する法律」第39条で規定される不動産鑑定評価書の交付とすることができます。
電子証明書を入手し、電子署名を付すことで、当該不動産鑑定評価書の作成者の特定と、その不動産鑑定評価書の改ざん検知が可能となります。


(参考1)「不動産の鑑定評価に関する法律」「不動産の鑑定評価に関する法律施行規則」抜粋


「不動産の鑑定評価に関する法律」
(鑑定評価書等)
第三十九条 不動産鑑定業者は、不動産の鑑定評価の依頼者に、鑑定評価額その他国土交通省令で定める事項を記載した鑑定評価書を交付しなければならない。
2 鑑定評価書には、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士がその資格を表示して署名押印しなければならない。
3 不動産鑑定業者は、国土交通省令で定めるところにより、鑑定評価書の写しその他の書類を保存しなければならない。

「不動産の鑑定評価に関する法律施行規則」
(鑑定評価書の記載事項等)
第三十八条 法第三十九条第一項に規定する国土交通省令で定める事項は、次の各号に掲げるものとする。
(略)
2 法第三十九条第三項の規定により保存しなければならない書類は、鑑定評価書の写しのほか、対象不動産等を明示するに足りる図面、写真その他の資料とし、それらの書類の保存期間は、五年とする。


(参考2)国土交通省 法令適用事前確認手続照会及び回答事案


法令適用事前確認手続照会及び回答事案
・不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号)
照会書
回答書

(回答書抜粋)
鑑定評価法第39条第2項の規定による鑑定評価書の署名押印は、e-文書法「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」第4条第3項及び「国土交通省が所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」第7条の規定により、電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下「電子署名法」という。)第2条第1項の電子署名をもって代えることができることとされています。

 令和元年の法改正により,e文書法はデジタル手続法に改正されており、
 上記記載のe文書法4条3項及び6条3項は、デジタル手続法6条4項及び9条3項に,
 規則7条は規則13条にそれぞれ対応しています。

「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」(デジタル手続法)
(電子情報処理組織による申請等)
第六条(略)
4 申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定において署名等をすることが規定されているものを第一項の電子情報処理組織を使用する方法により行う場合には、当該署名等については、当該法令の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用した個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。第十一条において同じ。)の利用その他の氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって代えることができる。

(略)

(電磁的記録による作成等)
第九条(略)
3 作成等のうち当該作成等に関する他の法令の規定において署名等をすることが規定されているものを第一項の電磁的記録により行う場合には、当該署名等については、当該法令の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって代えることができる。

「国土交通省の所管する法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則」
(氏名又は名称を明らかにする措置)
第十三条 法第六条第四項に規定する主務省令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
一 申請等が行われるべき行政機関等が指定するところにより、第四条第一項の規定により入力された事項についての情報に電子署名を行い、その情報を当該電子署名に係る電子証明書であって同条第三項各号のいずれかに該当するものとともに送信する措置
(二号以下及び2項を省略)
3 法第九条第三項に規定する主務省令で定める措置は、第十二条の規定により作成等が行われた情報に電子署名を行い、その情報に当該電子署名に係る電子証明書であって第八条第一項に規定するものを添付する措置とする。

なお、電子文書には「写し」という概念がなく、コピーした電子文書はその内容が改ざんされていない限りすべて原本となります。不動産鑑定評価書はその「写し」について5年保存するとされていますが、依頼者に交付した電子的な不動産鑑定評価書も同様に5年は保存してください。

不動産鑑定評価書への電子署名、電子署名検証設定について

不動産鑑定士向けJCAN証明書を取り扱う事業者

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